home
  旧甲州道中を歩く  
旧甲州道中 その

阿弥陀海道-黒野田-笹子峠-駒飼-鶴瀬-勝沼
  
旧甲州道中を歩く トップページ (目次)
前の宿へ      次の宿へ
区間 宿場間
里程換算
GPS測定値 歩数計 備考
阿弥陀海道宿-黒野田宿 1.31 km 0.74 km 1,097 GPSと歩数の阿弥陀海街宿は、笹子駅前から
黒野田宿-笹子峠 8.46 6.43 10,518
 笹子峠-駒飼宿   5.12   7,614    
駒飼宿-鶴瀬宿  2.00   2.33   3,197    
鶴瀬宿-勝沼宿 4.25   4.24    6,170   勝沼宿到着後、勝沼ぶどう郷駅へ、別に3.15km
合計 16.02 km 18.86 km 28,596
日本橋からの累計 123.34 km 144.14 km 208,056 GPS測定値と歩数は、寄り道、道の間違いロス分を含む
2015年9月
  
 
 
 
       
  
 阿弥陀海道宿から黒野田宿を経て笹子峠へ、駒飼宿、鶴瀬宿を経て勝沼宿へ
   
   
  
 
   
   
 
  
    
 
    
   
  
 
難所、笹子峠を越えた
 笹子峠を越えた。思ったよりも楽だった、というよりもあっという間に越えてしまったように感じた。笹子峠に難儀したという人、思ったより楽に越せた人、さまざまである。今回、峠を下り始めたときに知り合って同道した東京のMさんは、きつかったと感じたようだ。

 昔の旅人は誰もが健脚であったようだ。歌川広重は天保12年(1841年)に請われて甲府道祖神祭りの幕絵を書くために甲府に赴き滞在する。山梨県立博物館による調査研究報告書から、その旅の日記として広重が残した「甲州日記:天保十二丑とし卯月、日々の記」を読んでみると、江戸から甲府まで4日間で歩き、その4日目に黒野田宿から甲府まで(30.1キロ)を歩いたのだが、矢立の杉を左に見ながら登ったあと、「樹木生茂り、谷川の音諸鳥の声いと面白く、うかうかと峠を越て休、下りにかかる」と楽に笹子峠を越えた様子である。ちなみに、広重は初日に江戸から八王子まで、日本橋からとして45.1キロ、2日目に野田尻まで34.8キロ、3日目が黒野田まで29.7キロ歩いたとされる。八王子以降のアップダウンの激しい街道をこれだけ歩くのは、さすが江戸の旅人である。

 今回、体調がよかったのではあろうが、他に、思い当たることがひとつある。ストック(2本のタイプであるトレッキング用ポール)の効果があったのかもしれない。小仏峠を越えるときに試験的に使って、調子が良かったので今回はしっかり使うことにした。平地では邪魔に思うが、足腰への負担をかなり減らせるという。四ツ足に近くなるのだから当然か。プロアドベンチャーレーサーの田中陽希さんは、TVのグレートトラバースを見ると、山ではもちろん、平坦な舗装道路歩きでもストックを使っているのを見かける。平地でも効果があるのだろう。しかし、楽に峠を越えたと思ったのは、きついことを必要以上に覚悟していたために、それほどでもなかった、と感じただけなのかもしれない。単純に。

 広重は、笹子峠を越えた後、勝沼宿まで下って昼食を摂ったという。こちらは前日に続いて、この日も昼食を取りそこなってしまった。勝沼だから、土地の名物とはいわなくても、何か食事のできる店はあるだろう、と高を括ったのだが、旧道沿いには食堂はおろか、コンビニさえもなかった。勝沼に近づいて、ブドウ狩りの農園がたくさん続いたが、あるのはブドウだけで食事ができない。ぶどう園の奥さんに尋ねたところ、この近くに食堂はありませんよ、ブドウでも食べてください、と試食用をたくさんいただいた。ピオーネがもっとも美味であった。

 その後、勝沼宿の本陣跡に着いて、この日の予定を終わったが、中央線の勝沼ぶどう郷駅まで坂道を歩いた。甲府に向かう中央線の列車が笹子トンネルを出て、甲府盆地に向かって大きく迂回しながら下るときに見える、広大で見事なブドウ畑の、その真っただ中である。実に気持ちの良い道であった。駅までのその道の途中に、ワイナリーがあり、ご自由にどうぞ、とのことで、赤・白・ロゼの甘口、辛口を次々にありがたく試飲した。これでエネルギーを補給した。

 とてもスマートなデザインの勝沼ぶどう郷駅に着くと喫茶店がある。カレーライスとの文字が見えたのだが、「ご飯がなくなってしまったのです、すいません」とのこと。さすが大型連休である。とうとう、昼飯はブドウとワインだけになってしまったが、近づいた祝杯の時間を楽しみにしようと我慢することにした。なお、駅の喫茶店で飲んだコーヒーは最高であった。旧街道歩きの、コーヒーの部第1位のおいしさに認定しよう。

 これからの旧街道歩きへの自信を持つことのできた、幸せな一日であった。
    ------------------------------------------------------------------------
<参考資料> 
   山梨県立博物館 調査・研究報告3 「歌川広重の甲州日記と甲府道祖神祭」調査報告書


   
     
   
  
  
 
  いよいよ、山に入って笹子峠に向かう 
     
     
 
   
   
 
    
 
   
   
 
  
   
     
 矢立の杉
  
 
         
    
 
  
 笹子隧道  ここは、かつて国道20号線だった。 このトンネルは今、有形文化財に指定されている。
 旧甲州街道はこのトンネルを通らず、この上にある笹子峠に登る

 
     
笹子峠に到着  標識以外に見るものもない
標高 1096メートル 
 
   
  この笹子峠から標高差約700メートルを下る   
  
 
馬頭観音だろうか。頂部が欠けていて馬頭の確認ができない。
最下部に、三猿があれば青面金剛像で、庚申塔なのだが、はっきり確認できない
 
 
 
  この頼りない丸太橋を渡る
  
  笹子峠下から同道のMさん
  
 
こちらは立派な丸太橋
    
    
 
 
 
   
 駒飼宿
  
    
  
  
 鶴瀬宿
  
   
  日川の谷ぞいにブドウ畑が登場 この日川は笛吹川、富士川に合流して駿河湾に注ぐ
分水嶺を越えたのだ
  
  
  
  
 
      
   
  
  大型連休最後の日で、ブドウ狩りに賑わう ここでブドウを試食   
  
  
  
 旧甲州街道の勝沼宿の中心部は右の交通標識あたり
本陣、脇本陣があったところ
 
   
  
    
 勝沼宿到着後、駅までの道はブドウ畑の中
  
 
 
   
  
 
   
  
 
   
  
 
   
   

前の宿へ      次の宿へ
page top に戻る
旧甲州道中を歩く トップページ (目次)

home