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旧日光道中 その6

今市-鉢石-神橋
  
旧日光道中・旧奥州道中を歩く トップページ (目次)
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区間 宿場間
計算距離
GPS測定値 歩数計 備考
今市-鉢石 7.80 km 8.96 km 13,660
鉢石-神橋 -
0.60 958
合計 7.80 km 9.56 km 14,618
日本橋からの累計 145.42 km 158.98 km 226,730
日光道・奥州道の累計 145.42 km 158.98 km 226,730 GPS測定値と歩数に、寄り道、道の間違いロス分を含む
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2014年4月
    
 
 
今市から鉢石へ、そして神橋へ
       
 
 
街道の栄枯盛衰
 どこの旧街道を歩いていても、かつての宿場町の面影を見つけることはなかなか難しい。時代が変わって、当時の賑やかさを失い、宿場の中心地が今や静かな住宅街の一角になってしまったり、逆にビルの並ぶ繁華街に消えたり、場合によっては、堤防の下に埋まって消えることもあった。しかし、旧道歩きをしている旅人にとって、せめて、五街道ぐらいは、かつて賑わった宿場の中心にあり、大名が泊まったはずの本陣跡などの場所を示す標識程度はぜひ置いてほしいと思う。日光道ではごく一部を除いてほとんど設置されていなくて、残念であった。

 そんな今回の旅の終わりに、やや衝撃的な場面に出会った。事前の調べでは、日光道中の交通の要所として繁栄したとされる今市宿においてである。長い杉並木を出たとたんに街の中心地が現れるという、実に不思議で、見事なロケーションにある。この今市は、日光例幣使街道と会津街道も、杉並木を伴いながら合流する中核的な街である。だから近代化後も、人口が多く、賑わいのある今市市であった。2006年には、旧日光市や足尾町などと合併して新しい日光市の一部となったが、旧日光市を圧倒する人口を持つこともあって、今市が行政の中心となり、新日光市役所も今市に置かれたと聞く。にもかかわらず、ご多分に漏れず、ここでもシャッター街になってしまっているのである。そして、もっと深刻な状況になっているように感じたのである。人々の姿はあるのだが、色に乏しく、活気が見られないのである。

 夕食には、土地の名物を味わおうと、いつものように町に出たが、チェーン店も含めて居酒屋が見当たらない。電柱の看板に従って行ったレストランは、なぜか閉まっている。仕方なく、ホテルで店を紹介してもらった。「居酒屋小川」という、こじんまりした感じのよい店だった。開店早々なのに、地元の常連客が押しかけていた。海に近くて、海産物が豊富なところに住みながら、海のない、栃木県の真ん中で、今回もやはり海の幸の店を選んでしまった。たいへん脂がのった大分の「関アジ」の刺身を、なんと栃木県で味わったのである。実に美味であった。地酒を楽しみつつ、マスターやカウンターのお客さんたちから、今市の自慢と悩みを聞くことができた。やはり、地元にとって大きな存在だった企業が、撤退、縮小して人口が大幅に減ってしまい、中心街の大型店舗も閉店してしまったのだそうだ。行政は、こうした地元の活性化のために集中的な投資をして、今、大きな建物をつくる工事を進めるなど、苦心しているようだ。

 この翌日、日光道中最後の行程である今市から日光・神橋まで歩いた。日光の寺社が世界遺産に登録されたこともあるのだろう。日光駅から鉢石に向けて道幅を広げ、以前とくらべると見違えるように明るくなって、観光客も多く、実に活気に満ちた街となっていた。だから、通ってきた今市の情景とのギャップが余りに大きくて、ついつい考え込んでしまった。今市の姿に、まるで、役目を終えた宿場が消えてゆく現場を早回しして見てしまったような、そんな錯覚を覚えたのである。

 しかし、早合点はいけない。今市の杉並木を歩いているとき、ウォーキングしている地元の方たちと何度もすれちがった。確かに、毎日歩くには格好のコースである。そして、その歩いておられるみなさんが必ずあいさつをしてくれるのである。これはうれしかった。誇りある杉並木にふさわしい心の文化であると感じた。すばらしい。

 そして、今市の東武鉄道・下今市駅近くでは、すばらしいコーヒー店を見つけた。「る・ぶらん」という、ゆったりとして美しく、気品のある店で、女主人による、ひきたての見事においしいコーヒーを味わうことできた。歩き疲れとともに、心の疲れまで癒してくれた。ホッとしたこのお店にしても、あの「居酒屋小川」にしても、そして、杉並木を歩く地元の方々も、まさに豊かな今市の文化が残っていることを感じた。街は、必ず活気を取り戻せるだろうと思ったし、ぜひそうしてほしいと、切に願いながら旧日光道中の旅を終えた。

 
 
 
今市から鉢石へ 
 
  
   
   
 
        
   
   
   
 
   
   
 
 
 
 下徳次郎・中徳次郎・上徳次郎を経て大沢へ
 
 
  大谷石づくりの塀や門柱、蔵が続く 
 
男体山がやっと登場 
 
 
                    
 
JR日光駅
  
            鉢石から神橋へ           
 
 
 
                        
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
日光道中を完歩し、輪王寺、東照宮、二荒山神社に報告へ 
                        
 
 
    
                           輪王寺は平成の大修理中                           
  
   
 
 
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