武佐宿-守山宿-草津宿
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ついに、中山道最後の区間である。 今回は、おそらく旧東海道、旧中山道を通じてもっとも平坦なルートであろうが、 ここに至るまでは、文字通り平坦ではなかった。 長丁場の中山道だった。 これまでの道のりを思い出しながら、そして応援して下さった方々に感謝しながら歩いた。 さらに、家内ともども歩くことができる幸せにも心から感謝の気持ちを込めて歩を進めた。
東海道歩きのときに京都三条大橋に出迎えて下さったT先生が、今回、奥様とともに、いっしょに草津まで歩いてくださった。 フィナーレにふさわしく、4人のにぎやかな旅となった。 執念が実ったとの説もあるが、実に見事に天気予報がはずれて、よいコンディションに恵まれて、幸せいっぱいである。 |
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近江の国の赤い名物 |
近江八幡の名物に「赤こんにゃく」がある。 どぎついほど真っ赤なこんにゃくに,最初は驚いたが、この辺りでは普通のこんにゃく同様に、ごく当たり前に食されているという。 近江牛の皿にも載っていて鉄板で焼いておいしかったし、ぜんざいの箸やすめに赤い生のこんにゃくが出された。 その店では、カレーライスの福神漬の代わりに、赤こんにゃくを添えるという。
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左:赤こんにゃく 右:近江牛 |
この赤こんにゃくは、一見、唐辛子を使っているように、とても辛そうに見えるがそうではない。 その着色料を聞いて驚いた。 なんと、近江に入ったとたんに目についた格子や壁の色、そして、あの近江独特だと思われる、焼板との組み合わせが面白い焼板塀の枠木に使われているあのベンガラなのである。化合物名でいえば、三二酸化鉄、あるいは酸化鉄(Ⅲ)と呼ばれる顔料が塗料にも、こんにゃくにも使われていたのである。 無毒ではあるが、こうして食品に使われるとは思わなかった。
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焼板とベンガラの塀 |
この辺りで、こんにゃくを赤く染めるのは昔からの習慣というが、その起源は、織田信長がこんにゃくまで赤く染めさせたとか、近江八幡の奇祭「左義長祭」にちなむなど、いろいろな説があるものの、定説はないという。
チェコ・ボヘミアの旅のページに書いたのだが、ヨーロッパの屋根に多い赤瓦は美しく、文化と伝統が守られているあかしのように、感動を覚える。この赤瓦は、土中に数%含まれる酸化鉄が、酸化焼成で赤いベンガラとして残ったためであった。 黒瓦と使う土にちがいがあるわけではなく、焼き方がちがっていたのだ。
建物から食品に至るまで、近江独特の文化が、ベンガラで彩られていたことに驚きながら、近江牛を、いや、赤こんにゃくを、おいしくいただいた。 なお、残念というべきか、近江八幡のもうひとつの特産品である近江瓦は、赤瓦ではなくて、銀色に光る黒瓦である。 しかし、これも美しい。 |
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桜生(サクラバサマ)史跡公園の丸山古墳、甲山古墳などの古墳群
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宇野本家
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草津宿本陣
ついに、東海道と合流して草津本陣前に到着した。 東海道歩きを思い出し、懐かしさに胸が熱くなった。 今回、ご一緒して下さったT先生ご夫妻や家内も無事歩き通して、うまいビールで乾杯することができた。
中山道歩きはこれで無事終了で、感無量である。 だが、予定通り、京都三条大橋まで明日も頑張る。 |
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