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ゆっくり・きょろきょろ東海道を歩く

その21

草津宿-大津宿
  
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区間 五十三次距離表 カシミール 歩数計 備考
草津宿-大津宿 14.4 km 14.2 km 20,519 草津宿:・・・・追分 大津宿:本町三丁目交叉点
日本橋からの累計 456.1 km 479.7 km 677,959
2007年3月

      
草津宿から大津宿へ
東海道を下る文化,上る文化

その3 新しい文化
 そして思った。

 亀山から関までの宿場から外れた街道筋を歩いた時に、広い土地があるにも関わらず、つし二階建てをわざわざ新築しているらしい様子に驚いた。 どれも立派な建物であり、伝統を守る意識の強さに感銘を受けた。  しかし、さらに歩いているうちに、そうではないかもしれないと思うようになってきた。 もちろん、宿場など伝統的な建物を積極的に保存しようという地元の方々の強い意思や行政のすばらしい活動があることは知っている。 ただ、それだけではないのではないか、と思うようになったのだ。 

 つし二階建ては、安定感のある造形的バランスが見事だと思う。 そして、二階の塗籠め壁や虫籠窓などの漆喰部と、一階の連子格子や板壁などの木部とが、まるで異次元的な質感の組み合わせによって、絶妙な美しさを生んでいるように感じる。 そして現代においても、この美しい形を積極的に使おうという動きがあるのではないか。 あるいはすでに、モダンな建築デザインのひとつとして確立されているのではないか、だから、宿場以外にもこのように拡がっているのではないか、と思い始めたのである。 伝統保存の努力だけではなく、現代にも通用する新しい形へと、ごく自然に変身しているのかもしれない。 新しい文化として生まれ変わったのかもしれない。

 なんとも不思議である。
古代から、文化が肩に担がれ、背負われて上り、、そして文化が歩いて下った。 このような数間幅の狭い道を通ってである。 国内だけではなく、唐や百済から、そしてシルクロード経由の文化、オランダ文化もあったわけだ。 そして、こうした文化はまるで日本固有の文化であるがごとくに生まれ変わったが、街道沿いの新しい現代の建物の形、美しさも、こうして受け継がれて変身し、新しく蘇ったものかもしれない。 東海道を歩いて、その現場を見たような気がする。 

 いや、専門家に笑われるかもしれないし、分かりきったことなのかもしれないが、歩いて実感することに意味がある、と思う。
 旅は歩くに限る。


  
 ついに琵琶湖にたどり着いた。 興奮している。 前日、予定を越えて歩いて草津に着いたため、最後の調整がややこしくなってきた。 普通なら、草津から京都三条大橋までは一気に歩くのだが、最後は家内といっしょに歩くことを約束している。
 だから、草津から大津までをゆっくり歩くことにした。





  
  


草津本陣跡である  見学できるのだがまだオープン時刻前だった
草津には自転車が多い。 中仙道と東海道の分岐点である追分あたりは自転車ラッシュで気が抜けなかった。
連子格子の街道の家並みに不思議に自転車が似合うのである。 だからこの「ゆっくり・きょろきょろ東海道五十三次を歩く」にもたくさんの自転車が登場してきた。


 行書版の広重、草津の図 見にくいが、対岸に膳所城の天守閣が描かれている


このモダンなデザインは、単なる伝統の継承ではないのではないか
ここの民家にも煙出し櫓がある



  




瀬田に入る

  
瀬田の唐橋からは国道と東海道線の鉄橋が邪魔になって琵琶湖が良く見えない


京都よりも、むしろ大阪が近いというべきか
関宿でも見られた「ばったり=揚げ店」がこの辺に多い。 商品を並べたり、通る人が腰掛けるのだそうだ。 劇場の椅子のように跳ね上げる仕組みだ。 自動的ではないだろうが



伝統を守るもの大変である 虫籠窓が頑張っている




この蔵は、屋根を浮かせた「置き屋根」である。 京都、奈良に見られる


一見、「つし三階建て」に見える。 横に回ってみたら、窓があって本格二階建てであることがわかった
大津・義仲寺には、芭蕉の墓がある。 大阪で亡くなった翌日、淀川を通って伏見経由でこの義仲寺に運ばれたという。
この寺は、もともと木曽義仲の墓所であって、二人の墓が並んでいる

今回はたっぷり時間があるから、お参りできた

境内には芭蕉他、19もの句碑がある


 今回、関宿からの道は、変化に富んだすばらしい道であった。新たな発見を楽しみながら、そしてこれまでの遠かった道のりを熱く思い起こしながら、歩いた。

 そいてついに、大津に至り、五十三次すべてを踏破したことになる。

 今、道中で暖かい応援をしてくださった方々、励ましてくれた仲間たちへの感謝の気持でいっぱいである。 その気持を胸に、最後の三条大橋までをしっかり歩くことにしたい。 



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