富岡八幡宮・卯陪従(うべえじゅう)2019秋

横浜市金沢区 富岡八幡宮 
2019年11月2日
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卯陪従の動画 (大画面:4分30秒)は こちらからどうぞ
 
  湯立神楽を見てきました。

 「湯立神楽」とは何か。膨大な背景があって、その説明は簡単ではありません。
釜で沸かした湯を中心とする神楽で、信州の天竜川沿いの遠山郷などの霜月祭や三河・遠州の花祭りが有名ですが、横浜、川崎や三浦半島など神奈川県東部にも色濃く残り、鎌倉神楽、湯花神楽などと呼ぶそうです。
 この富岡八幡宮の卯陪従も、京都の石清水八幡宮から鎌倉鶴岡八幡宮を経て伝わったとも言われます。霜月祭などは朝から翌日の朝まで夜通し行われ大変規模の大きい神楽らしく、仏教や修験道の影響を強く受けた伝統が受け継がれているようですが、この富岡八幡宮の卯陪従は1時間ほどに収まる、コンパクトで素朴な神楽です。

 卯陪従とは、卯の日に行う陪従(宮中の神楽の古称)で、新嘗祭の役割があります。新天皇のために行われた大嘗祭も、卯の日に行われる新嘗祭の特別版とのことです。(11月の2番目の卯の日。卯陪従は1番目の卯の日)

 今回、横浜・金沢区の富岡八幡宮で行われた卯陪従で演ぜられた神楽は、
  〇羽能(米を四方に撒く)
  〇お祓い(釜場を祓い清める)
  〇祝詞
  〇御幣招(御幣で神や福を招き寄せる
  〇掻湯(かきゆ:御幣の柄で釜の湯を掻きまわして、中央からフツフツと
   湯花を立てて吉凶を占う
  〇射祓(いはらい:四方・天地に矢を放って厄災を退ける
  〇湯座(ゆぐら:笹の葉をもって舞ったあと、釜の熱湯に笹を浸して左右
   に振りしぶきを散らす (これを浴びれば無病息災)
  〇剣舞(けんまい:天狗の面をつけ鉾を持って四方を舞う
 でした。上の動画でご覧ください

 このような文化が、静かな町の住宅街の神社に残っていることは興味深いことです。

 この湯立神楽見学は、横須賀自然・人文博物館の「ハレの日めぐり」の一環として、民俗学担当の学芸員、瀬川 渉氏に案内していただいたものです。


 
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