三浦半島の「おんべ焼き」2020年

横須賀市 長沢海岸 
2020年1月12日
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 この日、早起きして歩き、長沢海岸に出かけた。東京湾の対岸である房総半島の鋸山付近に日の出がありそうなので、おんべ焼と日の出の両方を拝むベストポジションを探して待った。

 朝6時半に点火されて、たちまち強烈な炎と熱に圧倒されたが、見ると、東隣りの野比海岸でも3か所で燃え上がっているのが見えた。おそらく、西隣の三浦海岸でも行われただろう。この「おんべ焼」は小正月の火まつりである。各地で「どんと祭り」、「どんど焼き」などと呼ばれるが、三浦半島などでは「おんべ焼(御幣焼)」とよばれる。門松やしめ飾りを燃やし、餅や団子を焼くという行事である。

 旧甲州街道歩きのページで紹介したが、この火まつりは、関東以東とくに関東西部の神奈川県、山梨県では道祖神まつりと結びついているという。今も続く素朴な行事である。大磯町の「左義長」は国指定の重要無形民俗文化財だが、サエノカミ(道祖神の別名)の火祭りで、これもまさに道祖神祭りなのである。この火まつりでは、道祖神の丸石が火の中に投げ込まれる(横須賀市、静岡県富士宮市)とか、藁で作った小屋(オカリヤ)で子どもたちがどんと焼きを待ち、そして小屋に火をつける、あるいはその小屋に藁でつくった大きな男根を突き出させる、などいろいろなバリエーションがあるようだ。
 




 
 
 
 
 
 
 中央左の山が鋸山である
 
 
 
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