home 腹の出た年輪の物語 ページへ
旅と散歩のページ の目次へ


2003年8月24日

レンゲショウマ
が群生し、人が群がる
奥多摩御岳山

5万本の「レンゲショウマ」が見頃、との宣伝に誘惑されて、「駅からハイキング」に行ってきました。 朝6時20分に家を出て、新宿発8時19分のホリデー快速おくたま3号は中野、三鷹、立川、拝島そして青梅からもどんどんザック姿の老若男女が乗りこんでいっぱい。 9時30分に御嶽駅を降りると、ピストン輸送のバスに乗るための行列が多摩川の向こう岸まで延々と続いていました。 やっとの思いで乗ったバスを降りると、今度はケーブルカーの長い行列、しかも切符を買う列と改札に向かう列が入り乱れて大混乱です。 一人ゆえ、みんなのように、二つの行列に手分けして並ぶわけにも行かず、ただただ憤懣を抑えながら並んでいました。 上まで歩いて登ることも考えたのですが標高差424mと聞いて、これは北アルプス登山並みだと、あきらめて行列に並びました。 この頃には、平日に来なかったことを大変後悔した次第です。 

レンゲショウマは確かに見事に咲いていました。 ちょうど見頃だったようです。 でも、今ひとつ感動が沸いてきません。 林の幻想的な木陰に、けなげに,咲く花の姿をを見て、つくづくこの花は静かなときに、ひっそりと鑑賞すべき花だと思いました。 ごったがえす通路で、はぐれた人を探して大声で仲間とどなり合うおじさんたちに見られるのではあまりにも可哀相な、可憐な花です。 聞くところによると、この数年、「急速に売り出して」から殺到するようになったそうです。 満員の客を運ぶJRや西武鉄道、青梅市商工観光課、西東京バス、御岳登山鉄道、そして、大繁盛だった御岳山の食堂や土産物屋さんのみなさんは、作戦大成功とばかりに喜んでおられるのでしょうが!?
今回も、まるでバッタの群れが襲い掛かるように押しかける中高年軍団の猛烈なエネルギーに圧倒される思いです。 他人のせいにするわけではありません。 自分も今やその一人ですから。 混む場所や年齢層が変わっただけで昔と同じなのかもしれません。 考えてみれば、若い頃から国会議事堂の周りに群れたり、金もないのに日本中の野山や町に押しかけて来た我々です。 そして全力で仕事に、社会づくりにエネルギーを使ってきた我々です。 今、時間的自由を得て、残ったエネルギーをこうして全国の祭りや花の咲く場所、そして全世界めがけてぶつけているのでしょう。 
こういう群れの中で、心からの満足感を得るためには、どうやら自分なりにいろいろ工夫することが必要なようです。 人の少ない世界へこっそりと出かけるのが正解でしょうか。 またまた荒らすことにならないように気をつけながら。 
少なくとも、商魂に惑わされて混雑に飛び込んではいけない、ということでしょうか。 

花に罪はありません。 きれいな花でした。 帰りの電車で隣りに座られた方は奥多摩周辺で植物ガイドをしておられる方のようでした。 静かに「レンゲショウマ」を見るには大塚山(御岳山の隣りの山のようです)が良い、とのことでした。 わざわざ久里浜から「レンゲショウマ」を見に来たと聞いて驚いておられましたが、今、「ショウマ」にこだわっていること、白神山地のショウマを見てきたことなどに続いて 四国の「キレンゲショウマ」の話をしたら、それもわざわざ見に行ったのならすごい、といわれて、いやまだこれから、と慌てて修正しました。 穂状の花をつけて地味なものが多いショウマ(升麻)と名の付く植物の中で、この花を「レンゲショウマ」と呼ぶことの意外さを感じます。 「キレンゲショウマ」も同様ですが。
御岳山には、「レンゲショウマ」ほど群生はしていませんが、いろいろな花が咲いていました。 後で聞いて残念だったのは黄色い「タマガワホトトギス」を見ることが出来なかったことです。 幸い「ヤマホトトギス」を見ることができましたが。
帰って調べても名の分からない花がいくつかありますが、わかったものをご紹介します。

                                                           
すべての写真はクリックすると大きな画像が出ます
「レンゲショウマ」はキンポウゲ科に属し、花が蓮のようで葉が升麻(サラシナショウマ)に似ていることに由来する。 シーボルトにより発見された日本特産の属で、本州中部(福島県〜奈良県)のブナ林やミズナラ林の下にだけ見られるという。 
ヤマホトトギス。 山林中に生えるユリ科の多年草。ヤマジノホトトギスに似ているが花被片のそり方が異なる。 オクモミジハグマ。 山のこかげに生えるキク科の多年草。ハグマは白熊と書き、中国、チベットで飼うヤクの尾のことだそうだ。 キンミズヒキ。 林の中や原野にはえるバラ科の多年草金の水引きと呼んだもの。 モミジガサ。山の暗い林にはえるキク科の多年草。 
ソバナ。山の林にはえる多年草。キキョウ科。 ツリガネニンジンに似ている。 「ナ」食べられる植物を広く呼ぶ言葉。「ソバ」は山の険しいがけのことという。 カシワバハグマ。 キク科で、林にはえる多年草。 ツリフネソウ。 ツリフネソウ科。山の湿地にはえる。 花が細い柄の先にぶら下がり、花の形を帆掛け舟とみたてて釣舟草というそうだ。 綾広の滝。 水の流れを横切ると、冷たい風が顔をサーっと冷やしてくれる。 炎天下の歩道を歩いていて、冷房の効いた店の前を通るときのあの感じだ。
ハイキングコースは全行程約6kmと書かれていましたが、万歩計では合計で1万6千歩、12.9kmでした。 最近は多少鍛えていたつもりでした。 前日にも我が家の裏の230段の階段を苦もなく登れたので自信があったのです。 しかし、意外に坂道がきつく、階段はさらにきつくて、御嶽神社前のわずかな階段にも苦労しました。 帰りの混雑が気になって、ほとんど休憩も取らずに、ピッチが自然に上がってリズムがつかめなかったことが理由かもしれませんが、自信をなくしました。  急に暑くなった上に好天に恵まれて、汗まみれのウォーキングとなりました。 まるで濡れ雑巾を着て歩いているような状態でしたが、それでも、綾広の滝からロックガーデンにかけての流れに沿った道は非常に涼しくて生き返るような心地でした。 着替えを持ってゆかなかったことは失敗でした。
ハイキングを終えてから飲んだ、冷えた生ビールの味は最高でした。 でもそのせいか、あれだけ汗をかいて、ウェイトが減ったはずと、期待して乗った体重計には裏切られました。 困ったものです。
home 腹の出た年輪の物語 ページへ
旅と散歩のページ の目次へ