旧東海道歩きを楽しむために
  
今回の東海道歩きで、参考にした資料


 昔の旅人は、1日に約40km、通常は江戸から京都まで11〜13泊程度で歩いたという。 京の都や江戸に用があってのことで、単に楽しむことを目的とした旅人はほとんどいなかったであろう。 それに、この日程では楽しむには忙しすぎたであろう。

 今、東海道歩きは、歩くことを楽しみ、景色を楽しみ、余裕のある人は史跡を訪ね、名物も味わうなど、贅沢な旅である。 楽しみ方は人さまざまであろうが、今回は旧道の景観、特に民家そのものや、伝統的な町並みを楽しんだ。 この旅を楽しむために、あらかじめまたは、旅の合間に読んだ資料や書物を紹介する。

 資料を見ての予習も旧街道歩きの楽しみのうちである。 もちろん、復習も楽しくて、帰ってからの発見につながるし、
もう一度行きたいと思うようになる




<東海道の案内と歴史に関する書籍>
   
  ・東海道を歩く(歩く旅シリーズ:山と渓谷社)
--- ガイドブックとしてまとまっている。 しかし、地図は大雑把で、これだけでは無理
   ・東海道五十三次(森川昭:三省堂)
--- 近世文学の専門家ゆえ、句碑や沿道史跡の簡潔で豊富な説明が充実
  ・東海道中膝栗毛(上・下)(十辺舎一九・麻生磯次校注:岩波文庫)
--- 思いのほか読みやすく、当時の街道の雰囲気が活き活きと伝わってくる
  ・古地図、道中図で辿る東海道中膝栗毛の旅(人文社)
--- 東海道中膝栗毛の解説版風
  ・太平記を読む第1巻(安井久善訳:おうふう)
--- 「落花の雪に踏迷ふ、・・、昔西行法師が、「命也けり。」・・」の載った巻
  ・静岡県の歴史散歩(静岡県高等学校社会科教育研究協議会・山川出版社)
--- コンパクトにまとめられて、土地の概念をつかむのに便利
   ・古地図「大日本行程大絵図」(天保・安政期版:古地図史料出版)
--- 東海道から分岐、合流する諸街道の様子がよくわかる



<広重の東海道五十三次浮世絵に関する書籍>
   
  ・天保懐宝道中図で辿る広重の東海道五拾三次旅景色(人文社) 
--- 保永堂版・行書版・隷書版の五十三次図ずべてと道中図など。 広重の絵が今回の旅に大きな潤いを与えてくれた
  ・図説東海道五十三次(今井金吾:河出書房新社)  
--- 広重の東海道の図とその近傍の大正時代の古写真、現代の写真がある
  ・東海道、木曽街道広重二大街道浮世絵展図録(NHKプロモーション) 
--- 広重の絵図のほか、巻末の「浮世絵に見る旅の事典」が分かりやすくて充実



<街道沿いの民家建築と町並に関する書籍・資料>
   
  ・古建築入門講話(川勝政太郎:河原書店)  
--- 旧版が昭和9年に発行された名著。寺社などの細部構造から時代を見る
  ・日本の民家(二川幸夫、伊藤ていじ:美術出版社)  
--- 昭和37年初版の大型写真本。ほとんどモノクロ。我が家の本棚で久しく眠っていた
  ・日本の民家の造形(川村善之:淡交社) 
--- もっとも参考となった本。伝統的民家の形を写真と解説で分かりやすく説明
  ・壁・窓・格子(増田 正:グラフィック社)  
--- 書店で見つけて思わず買ってしまった大変美しい写真集。日本の美に感動する
  ・日本の町並み探求<伝統・保存とまちづくり>(吉田桂二:彰国社) 
--- 伝統的民家の研究と設計で有名な建築家による美しいスケッチと伝統的建物、町並みの解説
  ・なつかしい町並みの旅(吉田桂二:新潮文庫) 
--- 上記建築家による繊細なスケッチと紀行
  ・歴史遺産 日本の町並み108選を歩く(吉田桂二:講談社+α新書)
--- 小京都、小江戸に負けないいい町のスケッチと紹介
  ・江戸東京たてもの園解説本(江戸東京たてもの園)  
--- 巻末の「建物解説集」で、民家の形や構造用語について簡潔に解説



<東海道歩きに関するWEBの例>
   
  ・東海道五十三次(日殿言成)
     http://www.d3.dion.ne.jp/~nagai_m/index.html  
--- わかりにくいルートをわかりやすく図示。東海道、中山道の出版も。05年故人に
  ・広重五十三次をゆく(どらく・地球発ページ
     http://doraku.asahi.com/earth/japan/hiroshige/list.html  
--- 朝日新聞のビートルス世代に向けたサイト「地球発」に12回に分けて掲載
  

  
<その他>
  
  ・各宿場や沿道の自治体による案内パンフレット類
--- 特に、関宿、土山宿、草津宿、二川宿などのパンフレット類やWEBページが参考になった。印刷物を、あらかじめ手に入れる方法があるとよいのだが