下田街道で山への道に入った踊り子たちは、川向こうに見える坂道を登ったはずだ。 河津川の行手に河津の浜が明るく開けていて、「あれが大島なんですね」、「あんなに大きく見えるんですもの、いらっしゃいましね」と踊り子と「私」が話した見通しの良い場所は、この坂道をもう少し登って右にカーブするところであろう。今回、そこまで行ってみようと思っていたが、そうすると、湯河原での同窓会に間に合う電車に乗り遅れそうだった。
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