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2003年8月7日
ハマユウやハマボウの日本の北限

三浦半島の天神島


 天神島は、天神橋で今は陸続きですが、三浦半島の西側の横須賀市佐島にある小さな島です。 相模湾に面して、富士山や江ノ島はもちろん、伊豆半島の天城の山々や伊豆大島も見ることが出来ます。 三浦半島を代表する動植物が分布しています。 この島に生育する海岸植物は146種で、これだけの数がまとまった地域は他にないそうです。 500万年前の地質にも特徴があって、隣りの小さな島、笠島とともに動物・植物・地質学上の貴重な地域として神奈川県指定天然記念物とされ、横須賀市の天神島臨海自然教育園として一般公開するとともに手厚く保護されています。

小さな砂浜もあって、親子で海水浴を楽しむ姿も見られましたが、殆どは岩場に囲まれており、海の生物を観察する絶好の場所です。台風の接近が心配されるものの、まだ穏やかな8月のある日、訪ねてみました。 天神島ビジターセンターには展示室があってこの島の自然と漁業などの昔からの暮らしぶりが紹介されています。 この島や、三浦半島の自然・歴史に関する多数の資料が横須賀市博物館教育資料シリーズとして発行され、このビジターセンターで入手できました(有料です)。

天神島臨海自然教育園のホームページはこちらです

梅雨の明けた海岸は、強い夏の日光で焼けるような暑さでしたが、ハマボウのやさしい黄色やハマゴウの妖しい紫に出会うことができて満足しました。 海をみるとウミネコが群れながらこちらを見ていました。 管理棟の前に置かれていた望遠鏡をのぞくと、笠島にアオサギが沢山いるので驚きました。 シラサギやクロサギもいてしばし見とれました。 毎日ではないそうですが、カワセミが来て魚を獲っているそうです。 「ウミセミになった私」と題してボラの稚魚をくわえたカワセミ君の写真が貼ってありました。 川や山の住民と思っていた鳥たちが海まで出稼ぎにきていると聞いてびっくりです。 

  

下の写真はクリックすると大きな画像が出ます

三浦半島の天神島
岩場でウミネコが休憩中です。近くの笠島を望遠鏡でのぞくと沢山のアオサギシラサギ(コサギまたはチュウサギ)が羽を休めていました。クロサギもいました。 ハマユウ(ハマオモト)の自生地としてこの天神島がわが国の北限。ヒガンバナ科に属し、花から上品な香りをはなつとのこと。(夜だけ?) ハマボウは、アオイ科の低木でハイビスカスの仲間です。奄美大島から三浦半島にかけての海岸でみられ、これも天神島が北限の自生地。カワラムクゲとよばれることも。 この花は8月13日の朝日新聞湘南版の「花めぐり」にも紹介されました。学名はハイビスカスナマボウだそうです。開花して一日でしぼむとのこと。
ハマグルマ(ネコノシタ)はヒマワリを小さくしたようなかわいいキク科の花。肉厚の葉がネコの舌に似た手触りとか。 海岸の砂地に生育するノゲシの仲間ですが、道端で見られるものよりも花が大きく葉が粉白を帯びているとのこと。 ハマゴウは「浜香」と書き、クマツヅラ科の木です。実や葉にラベンダーのような良い香りがあるからついた名とのこと。天神島では岩場で地を這うように広がっています。
ノブドウ。赤い実は虫えい(虫こぶ)であることがわかりました。(kaoruさんありがとうございました) ザトウエビという別名もあるようです。赤い実は右写真の奥の方にもあります。手前の通常の実と比べてください。ブドウタマバエやブドウガリバチの幼虫の寄生によるものだそうです。

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