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サービス精神
 旅がオーストリアからチェコへの国境をこえるころ、ツアーコンダクターのSさんは言った。 社会主義国であったチェコですから、サービスはまだ不十分で、不満を感ずる方がいるかもしれません
 なるほど、サービスによって客に満足してもらっても、商売が繁盛したり、自分の評価が上がることもなかったから、その必要性を感じなかった、ということだろうか。 今、体制が変わっても、その延長線上なのか、あるいはどうしたらよいかが分からない、ということかもしれない。

 少し意識して、レストランやホテルの観察をした。 お愛想笑いがない。 どこの国でも、ホテルの廊下ですれ違うとき、従業員はにこっと笑って、グッドモーニング、などと声をかけてくれるのが普通だ。 でも、ここではそれがない。 無言で、目を合わせることもなく通り過ぎてゆく。 ここは、この町随一のホテルのはずなのだが。 なお、ホテル内にある、ガーネットなどの宝飾品の店や、当時の衣装を着けたお城のガイドさん(上右の写真)などは愛想が良かった。
 我がメンバーのなかの3人娘は、どこへ行っても行動力があって、ホテルのフロントにいろいろな交渉をする。 でも、その反応が鈍いらしい。 まだ時間内なのに「フィニッシュト」といって、とりあってくれないとか。 「商売気がない」とあきれていた。
  たしかに、西側の国のような、「サービス精神」は、今、まだ充分ではなさそうである。 でも、どうだろう。 チェコ同様に、旧社会主義国でありながら急成長の結果、ふしだらな店への客引きがうるさくて満足に町を歩けないアジアの某首都に比べて。 また、小さな子供までが物売りで、しつこく集まってくる西側ヨーロッパの某国に比べて。 どちらが良いかは明白である。 見かけのサービス精神、商売上のサービス精神ではなくて、真心で国内や海外からの客をもてなして欲しいし、交流に充実感を持てるような、そんな国であって欲しい、と思う。 プラハのカレル橋付近などは、すでに、サービス精神先進国なみの良くない症状が出始めているようだが、外国人の進出のせいもあるかもしれない。
 今後に注目したい。
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