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チェコの日本人と日本語
 チェコにどのくらいの日本人が住んでいるかは知らない。 最近、トヨタがチェコに進出してきた。 プラハから東へ約50kmほどのコリーンという町だという。 経済の活性化など、チェコ社会への影響は非常に大きいようだ。 すでに5月末に新小型車「アイゴ」を年間10万台規模で本格生産を始めたようだ。 そのために、日本人が120人来ているそうだ。 会社は、もともと町にあった中華料理店に頼み、訓練してそばやヤキトリなどの日本食を提供してもらう体制をとったとか。ノミニケーションで活性化され、アイディアを誕生させる日本人は、きっとこの社会にも影響を与えるだろう。

 今回、現地ガイドとしてクトナー・ホラなどに付いて来てくれたTさんの、日本語のうまさにはみんな参ってしまった。敬語の使い方が日本人以上である。Tさんはプラハのカレル大学日本語学科を卒業したが、慶応大学にも1年間留学したそうだ。 まだ若い独身で、この程度の勉強期間でこれほどの外国語を話すのかと、愕然たる思いであった。 それは、さておき、このTさん、実はガイドは土日のアルバイトで、日頃は日本企業で通訳をしているという。 なるほど、と思う。 このところの日本企業の進出で、日本人グループ向けの観光ガイドの人たちが大勢通訳として雇われてしまい、ガイド役が不足して困っているそうだ。 そのせいか、今回もあるところで付いてくれた若くてきれいな女性ガイドさんは、明るくてまじめで一生懸命説明してくれたのだが、たびたび右と左が混乱してしまって、我々を朗らかにしてくれた。 まだ学生さんだったかと思う。

 この国と日本のお付き合いがまだ浅いこと、日本語とチェコ語の両方を知る人が少ないということであろうが、それについて他にも楽しい例がある。 最近はたいていのところで日本語のガイドブックが売られている。 今回の旅の最大の目玉のチェスキー・クルムロフにも、当然日本語の地図やガイドブックがあって、当然それを買い求めた。
いろいろ面白いが、その中に、チェスキー・クルムロフの年表のページがある。 そこから、楽しい表現を、ちょっと引用させてもらうと


 ・・・・年 チェコソロバキア共和国は城がもらいました
 ・・・・年 城とシャトーの地方は国文化見物になりました

これでもチェコ語やドイツ語のガイドブックよりずっといいや、というのが我々の感想であった。
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